問題解決の流れ(2)
前回の投稿で現状把握では要素と水準をなるべく網羅する事が重要と述べた。
要素を見出すポイントとして、「何が起きているか」を想像する事が大事であると考える。
例えば切削加工であれば、工具と被削材の接触部での挙動、相対的な動きがある部分では、接触している箇所の挙動などである。それぞれの材質、形状(マクロ、ミクロの観点)、雰囲気(温度、湿度、潤滑等)、相対速度、変形等々、突き詰めれば、材料物性、組成による強度、変形、摩耗が時間の経過と共に変化している事が推定される。
現代ではシミュレーション技術も進化し、かなり精度よく現象を予測する事も可能となっているが、現実には、すべての要素を盛り込んで計算しているとはいい難いし、必ずどこかに仮定が含まれている。そういう意味では個人的にシミュレーションが完璧にできる領域はほとんどないと考える。もちろんツールとしてシミュレーションは有用であるし、必要であるが、そこで出た結果をうのみにするのではなく、どれだけ信頼性があるかを自分の中で検証しながら使うことが必要だと思う。
その際に必要なのが要素であり、要素がどうなっているか(水準)、を想像する事である。なので、ものづくりには、材料、物理現象、化学、電磁気、構造設計に関する知識をできれば深く知る事が大事であると考える。
現状把握で問題の原因に関わる要素を正しく絞り込めれば、対策案の方向性や、具体的な方法も導出しやすくなる。言い換えれば、問題解決がうまくいくかどうかは、現状把握の段階で決まるという事である。その意味で、個人的には問題、課題解決の最重要ポイントとして、「現場を見る」という事を挙げている。
問題、課題の根本原因が推定出来たら、対応策の検討と実行になる。ここは経験値が有効な領域である。発想の幅がどれだけ広いか、個々の要素の組み合わせをどうするか、それにより解決の精度、スピードが変わってくる。柔軟な発想力が求められるので、経験の長いベテランであっても、一概に解決力が優れている、とはならない場合もある。
(続く)