評価の重要性
ものづくりに関わっている人は、実際にモノを製作する工程を担当する場合でも、その工程の良し悪しを判断するために、さまざまな「評価」を行っているはずである。
「評価」の内容として、例えば機械加工の場合なら「寸法」「表面性状」「形状精度」などが指定の範囲に仕上がっているか、確認する行為がある。その評価タイミングは時と場合によりさまざまであろうが、いくつかの工程を経た部品・製品が、最終的には多くの場合、品質保証部門(検査部門)にて、必要な項目が規定の方法で評価される事になる。その場合、各工程内での評価結果と品質保証部門での結果とで、同じ個所の測定値に違いが発生するのは問題である。
品物の機能・性能を想定通りに発揮させるために、各部の規定値と誤差範囲が設定されている。時には非常に誤差範囲(公差)が狭い場合もあるだろう。評価はその求められる精度を保証しなければならないので、評価を行う人は評価方法(計測方法等)や、使用する機器の分解能、精度について、求められる精度を保証できるかを常に考慮する必要がある。
計測器、特に今どきのものは結果がデジタルでアウトプットされる場合が多いが、出てきた数値を無条件に信用して扱う事も少なからずあるように思う。数値で出されると、それが「正しい結果」であるように認識しやすい。もちろん結果を見る側は出てきた数値が「正しい」と思わなければ判断も出来ないが、そのためには結果を出す側の人が自信を持って出せるよう、評価方法、設備、環境等について、正しい知識と適切な運用を行わなければならない。
ものづくりにおいて、評価を行うための設備(計測機器)は決して安いものではないが、製品を保証するためには必要なものであり、その仕様や取り扱う人のスキルの重要性を認識し、信頼できる保証体制を構築する事が、会社の信用を決定する。そういう意味で、ものづくりに関わる人は「評価する」事の重要さを正しく認識し、日々正しい評価を行うという意識を持ちながら、ものづくりに取り組んで欲しいと思う。