問題解決の流れ(3)
原因分析から対策案の検討を行うが、前回も述べたようにこのフェーズで求められるのは発想の柔軟性である。今や、この領域はAIが幅を利かせているが、最終的には現場・現物を見ている人間が決めていく事になる。検討の情報としてAIを用いるのは大いにアリだと思うので有効に活用すべきだろう。
対策案もいくつかの選択肢がある場合が殆どだと思う。実施の順番、時には条件を変えながら、結果と照らし合わせ、その対策が有効なのか、そうではないのかを判断していく。このフェーズで用いられる手法の一つが実験計画法やタグチメソッド(最近はあまり聞かなくなった?)等である。パラメーター(因子)と水準をうまく設定できれば、その因子の有効度合い(要因効果)もわかり、何が一番効果的なのかを明確にできる。個人的感覚では、ある程度因子と水準が絞り込まれた状態であれば、タグチメソッドが最適条件を導き出すのに有効だと思っている。逆にいえば、タグチメソッドは検討の初期段階で用いる手法ではないと思っている。
これらの対策案実施において、評価項目をどう設定するかも重要なポイントである。具体的な現象の変化が目的であればわかりやすいが、効率向上とか最適化といった、ある意味曖昧な目的の場合、何で評価すればよいのか、迷う事も多いと思う。タグチメソッドでは条件が最適化されれば、すべて良くなる(エネルギー最小化)と言っていた記憶がある。同じ結果を得るのに、投入したエネルギーが最小の条件が最適条件というのはわかりやすいし、説得力があると思う。
いずれにしろ、対策案の実施と評価のサイクルを繰り返し、望むゴールに近づいていく。時にはそこにゴールはないかもしれないが、積み重ねた結果が経験として後に活きる。なので、どんな領域においても、考え、実行し、結果を考察する事はとても大事な事であると考える。
とりとめもなく問題解決の流れを書き連ねたが、今の時代、とにかく無駄の削減という、聞こえの良い言葉でチャレンジをしないシーンが増えているように思う。ただ見かけの実績作りのために「チャレンジしている風」な取り組みと、真に意義のある目的があってのチャレンジは違うものである。マネージメントにはそのあたりをしっかり見極める能力を持って、適切な判断・評価を行って欲しいと切に願う。